約 4,229,262 件
https://w.atwiki.jp/glog/pages/31.html
クロスベル警察 クロスベル自治州の治安維持と自治州法の遵守のため、自治州政府の下に置かれている公安機関。 組織 クロスベル警察のトップは局長、ナンバー2は副局長(S1204年時点ではピエール氏が在任)。この下に捜査一課、捜査二課、広域防犯課、特務支援課などの部署が置かれ、それぞれのトップに課長がいる。また特殊で重大な事件が起こった際は、特別捜査班が臨時に置かれることもあるようで、S1197〜1198年の《D∴G教団》殲滅作戦の際は、セルゲイ・ロウ班長の下、ガイ・バニングス、アリオス・マクレイン両捜査官が、クロスベル警察を代表して、当時のA級遊撃士カシウス・ブライト率いる国際捜査チームに参加している。警察本部はクロスベル市の行政区にあるが、このほか自治州西部のノックス大森林に警察学校があり、そこの教官を本部の警察官が務めることもある。なお、階級は警部・捜査官・巡査などが今のところ確認できている。 資格 クロスベル自治州で警察官になるためには、基本的に16歳以上で自治州西部にある警察学校を卒業してさえいればよく、特別な資格は必要としない。しかも、S1204年にセルゲイ・ロウ警部によって新設された規格外の部署特務支援課では、エリィ・マクダエルが筆記と射撃試験のみ、ランディ・オルランドはクロスベル警備隊からの転属、ティオ・プラトーはエプスタイン財団クロスベル支部からの出向で、しかも年齢が14歳(16歳未満)と異例尽くしだ。ただし、本部捜査課の捜査官になるためには、捜査官試験に合格して捜査官資格を得る必要がある。「零の軌跡」「碧の軌跡」の主人公ロイド・バニングスは、この捜査官試験を警察学校卒業と同時にパスしてその資格を得ている。これも異例のことだという。 軌跡シリーズでは、16歳は節目の年齢 余談だが、遊撃士の資格も16歳から取得できることになっている。16歳までは《七耀教会》の日曜学校で学び(義務教育的なもの)、16歳から自立して働くも良し、リベール王国の《ジェニス王立学園》のような高等教育に進むも良し、というのが一般的なゼムリア大陸(あるいは《七耀教会》)文化圏の慣習なのかも知れない。 活動 捜査一課は重大犯罪を専門に捜査する、クロスベル警察の最重要部署。クロスベルにおける警察組織の評判の悪さに反して、優秀なエリート捜査官が集められており、個々の捜査官のプライドも高い。(一応、マフィアの側では、市民ほど警察組織を軽視してはいない模様。)むしろ問題はエレボニア帝国やカルバード共和国の利権争いの場になっている議会の方にあって、そこで制定された自治州法が足枷となって、充分な防諜やテロ活動の取り締まりができない方が問題の核心のようだ。ただ、時に過剰ともいえる徹底した秘密主義と、高いプライドに裏打ちされた強い縄張り意識から、ほかの部署から捜査中の事件を有無も言わさず取り上げてしまう一面もある。その反動か、捜査二課の捜査官には一課の捜査官ほどのプライドやプロ意識・エリート意識はない(モチベーションを奪われることしばしば、といったところか)。二課は、一課が管轄する組織的重犯罪やマフィア関連以外の、軽犯罪の捜査と取り調べを主に行っている模様。ただ人手が足りなくなると、一課から容赦なく駆りだされる。広域防犯課は、市内の巡回、交通整理、駐車違反の取り締まり、立哨といった、地味な市内活動を主な職掌としている。新設の《特務支援課》を除けば、市民との距離が最も近い部署だけに、クロスベルの遊撃士の良さや人気の高さを最も肌身で感じているようだ。 遊撃士協会との違い 「空の軌跡」シリーズ(リベール王国)では、遊撃士協会が時に王国軍と衝突しながらも、リベール国内の公安の役割を果たしていた。その遊撃士協会と警察組織の違いを簡潔にまとめると次の2点に集約できる。 一国の公的機関(警察)と国際民間組織(遊撃士協会) 公的権力への干渉権(警察)※ただし、民間人の安全が国家や公的機関によって脅かされる場合は、遊撃士協会も逮捕・仲裁などが可能。 もっとも、クロスベル自治州の場合は、自治州法に諸外国からの諜報活動を取り締まるための法律がなく、自治州議会の議員も帝国と共和国の代弁者となって利権争いをしているのが現状で、実質的に「公的権力への干渉権」が機能していないという現実がある。 各国の公安機関 ゼムリア大陸上の諸国における公安は、それぞれの国の内情によって与かる機関が異なる。たとえば、国際民間組織遊撃士協会との関係が良好で猟兵団の雇用も禁じているリベール王国では、遊撃士協会が公安の役割を兼ね、必要に応じて王国軍が加わる。また軍事大国であるエレボニア帝国は憲兵(MP)が、民間レベルの公安を基本的に担い、遊撃士協会はS1202年に起こった帝国ギルド連続襲撃事件によって壊滅的被害を被ったこともあり、影響力は低下の一途を辿っている。クロスベル同様に警察機関の存在が確認されている国に、北の隣国レミフェリア公国がある。こちらは、クロスベルと異なり、警察機関と遊撃士協会の関係は良好のようだ。 合計: - 今日: - 昨日: -
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/2120.html
D.H.N俺 第4話「謹慎処分明け」 後半部 俺『こちら、俺。敵の進路に依然代わりはないですか?』 坂本『進路変わらず、だが速度を上げてきているぞ』 俺『まったく、めんどうだな』 シャーリー『俺!見えたぞ!』 俺『今から戦闘に入る!敵の進路を阻みつつ、確実に撃墜する!』 シャーリー『俺、どうするんだ?』 俺『まずは敵の速度に合わせつつダメージを与え速度を落とすぞ。その後にコアを破壊する。ああ、あと……』 シャーリー『なんだ?』 俺『ネウロイ化せずに倒す。まだ敵がいるかもしれないしな』 青空に一点の黒粒から微かな赤い線が流れる。 その赤い線は周りの空気を跳ね除けながら俺の横をぐっと通り過ぎた。 いくつも続くその線の流れがだんだんと正確になりはじめた頃に、シャーリーに目で合図を送る。 俺『敵の攻撃に注意を払いながら、装甲を剥いでいけ!俺は進路を妨害しつつ攻撃をしかける!』 シャーリー『わかった!無理するなよ!』 シャーリーは上に、俺はネウロイの正面から速度を合わせ仕掛ける。 一気に距離をつめたネウロイが俺をまず第一の標的と定め、致命傷を狙うビームの乱射。 それに対し、俺はBARで敵のビーム門を確実に狙っていく、もちろんビームをすべて避け通して。 俺『くそっ!火力が足らねぇな』タタタタタタ! シャーリー『じゃあ、二倍だ!』タタタタタタタ! 俺『フリーガーハマーでも借りるんだったな!』 シャーリー『でもこの速さじゃあまり当たらない気もするけどな!』 俺『違いない!このネウロイ、大型と聞かされていたが大きさは大型の幕下だ!』 シャーリー『だけど速いぞ!』 俺『それに余裕でついていってるみたいだが?』 シャーリー『あたしのほうがもっと速いってことさ!』 俺の方に向かってくるビームの軌道を一目で把握し偏光ぐあいも兼ねて大きく避ける。 仕返しにと弾丸の雨を一気にふらせる、銃口から重厚な音をたてて。 さらにカウンター気味のあらゆる方向からのビームを目もくれずシールドで体を守り、後方、前方、横すべての攻撃を無力化する。 3つの黒点がとてつもない速さで空を入り乱れ、駆け巡る。 ヒュン……ビシュゥィィン……タタタタタ!タタタタタタ!パキィィィン! シャーリー『おし!あそこがコアだな』 俺『ネウロイの速度も少し落ちている。完全に再生を済ます前に集中して攻撃するぞ!』 シャーリー『了解!』 俺『俺が一発でコア上装甲の一部分を叩き飛ばす。そこを狙え、できるな、シャーリー?』 シャーリー『まかせろー!』 俺『おねんねしろ、ネウロイ』キュィィィィン… シャーリー『何をするつもりなんだ?』 俺『コアを活性化させ人間ではありえない規格外の一撃を食らわせてやるんだよ。かまえろ、シャーリー』ビキビキ シャーリー『ま、待てって!俺の体は持つのか!?』 俺『直接俺の拳を食らわせるわけじゃ……ない!』ヒュン 右腕に血管がびきびきと浮かび上がり腕に流れる血液量が早まる。その腕にBARを逆にして持ち変える。 少しだけ速度の落ちたネウロイとの距離を素早く詰め、一箇所を狙い見定め……強靭な握力を加えた。 赤いビームを空へと走らせながら、2つの黒点が急所を狙うために何度も交差。 その側でその光景を見据えながら一瞬の時を見逃すまいと、シャーリーはまばたきをせずBARを構える。 ネウロイ〈キィィィィィシュゥゥゥゥゥゥン〉 俺『(雲の中に逃げる気がだろうが……)』ヒュン シャーリー『俺!ネウロイは雲の中で私たちを離す気だ!』 俺『いつだって逃げるやつは、狩られるんだよッ!雑魚がッ!』 一瞬の逃げの姿勢を見逃さず距離を肉薄まで近づいた、狙う一部分のもとへと。 そのチャンスを逃す俺ではない。 力を凝縮、さきほどの間の戦闘でこれだけの衝撃を与えれれば装甲が砕けるであろう程度の。 剛力のみちた両腕に握りしめたブローニング自動小銃を振りかざす。 俺『砕けろ』ヒュン ネウロイ〈―――キュィィィィィィンッ!!〉ズゴッシャアアアアアアアン! 本来の用途を超えた使用方法。ハンマーの如く振り下ろされた物体。 少量の血が拡散、小銃は粉砕、甲高い悲鳴が上がる。 それは敵の殻を豪快な音を立てて打ち砕き、響き渡る金属音とともに白塵をめいっぱいに散らせた。 内には真っ赤な敵の心臓―――コア。 俺『いけぇっ!』ピッ シャーリー『終わりッ!』タタタタタタ! ガガガガガガガガガガガッ……ピシッ! パキィィィィィィィィィィィィィィィィィィン―… 確実な状況を得た、シャーリーのコアを目掛けた射撃。 流し込まれた銃弾により見事敵のコアを破砕。 それと同時に、体裁を保てなくなった敵はまばゆい光とともに爆発するように砕け散った。 シャーリー『よっしゃぁー!!』 俺『よしっ!!』 パァァンッ! そこで高い音を空に響かせてハイタッチ。 気分の高揚が実に心地いい。 シャーリー『お~、結構手間はかからなかったな~』 俺『敵は速いだけだったからな。……最後、よく狙い撃てたな』 シャーリー『ん?』 俺『高速度でコアだけをめがけて撃ち通すのはなかなか難しいんだぞ。よくやった』グッ シャーリー『そりゃ一応訓練してるからな。まぁ俺がチャンスを作ってくれたから、ミスするわけにもいかないしな!』 俺『そりゃ、ありがたいな』 ザザッ― 坂本『シャーリー、俺。こちらでもネウロイの消滅を確認した。お疲れ様だ』 俺『じゃあ今から帰投します』 坂本『ああ、気をつけてな』 俺『ふぅ。じゃあ帰るか、シャーリー』スッ シャーリー『へ?』 ふと手を伸ばす。 なんとなく信頼の意味も含めて握手でもしたかったのだろうけども。 少し違う意味に捉えられたのかもしれない。 シャーリー『え、えっと手をつないで帰るのか?』 俺『あ……えーと。あー……まぁ、それでいいか』 強引だ、と言われて少し怒られるかもしれないが、俺はシャーリーの手をとった。 そのすべすべの手(軽く汗ばんでいるが)を軽く握りしめ、基地へと向けゆっくりと飛び出す。 若干照れ隠しに微笑むシャーリーの表情が可愛かった。 シャーリー『あ、あははっ……ち、ちょっと汗かいたし帰ったらシャワーでもあびるか~』 俺『じゃあ俺はそのあとで浴びるか』 シャーリー『今日も一緒にはいるか~?』 俺『ぜひ……じゃなくて、はいらないぞ。絶対に入らないぞ』 シャーリー『あははっ!でも坂本少佐が裸の付き合いは必要だー!っていってたぞ』 俺『それは同性同士の話だ』 シャーリー『そういえば俺はまだ生身でも戦えるんだな~、いったいどこに魔法力があるんだ?』 俺『人体拡張反応コアが基本的に魔法力を補充している。たぶん近々詳しい話をすると思うぞ』 シャーリー『近々ってどういうことだ?』 俺『なんとなくそんな気がしてな。勘は当たる方なんだ』 シャーリー『よし!じゃあそんときにしっかり聞くからな。ちゃんと包み隠さず話すんだぞ』 俺『そうは言われても機密事項もあるからなぁ』 シャーリー『みんな密かに知りたがってるんだぞ』 俺『はぁ……言えることだけ話すさ。それにしてもなんでそんなに知りたがるんだ?』 シャーリー『あ、いや、なんとなくだよ!』 あたふたするシャーリーを見つつ、基地が見えてきたので少しずつ減速させる。 表情がころころと変わって見てて飽きないやつだ。 最初はどうなるかと思ったが、なんとかここでやっていけそうな気がする。 最後まで。 それから一日経って宮藤とリーネ、ペリーヌの三人が無事?修行を終えて帰ってきた。 少々愚痴でも垂れるのかと思いきや、またアンナさんのとこいきたいね、などと話していた。 端っこでその様子を伺っていた俺は二度と行きたくないと思っていたのだ。 宮藤「基地が懐かしいな~」 ペリーヌ「基地を離れてからそんなに経っていないでしょうに」 俺「あのばあさん、めんどくさかっただろう?」 宮藤「あ、俺さん。全然いい人でしたよ!」 リーネ「いい人っていえばちょっと違うかもしれないけど……」 ペリーヌ「ふん、二度と見たくありませんわね」 坂本「まぁそういうな、ペリーヌ。で、全員修行の方はちゃんとできたのか?」 リーネ「はい!ちょっと時間がかかっちゃいましたけど」 坂本「ふむ。じゃあ明日からまた訓練に戻るぞ」 宮藤「えぇ!?少しは休ませてくださいよ~……」 坂本「何を怠けたことを言ってるんだ。お前たち三人はただでさえ戦線を離れていたというのに」 俺「今日はゆっくり休むといい。ご飯はシャーリーたちがつくってくれてる」 ペリーヌ「今日は疲れましたからすぐに寝たほうがいいですわね」 坂本「ペリーヌ、今日はしっかり体を休めておけよ」 ペリーヌ「はいぃ、少佐!よければ今日もお風呂にご一緒してもよろしいですか!?」 坂本「おっ、全然かまわないぞ。みんなで入るほうが楽しいからな」 宮藤「あ、じゃあ私も一緒に~」 ペリーヌ「くっ……この豆狸……私と少佐のひとときを邪魔しにかかるなんて」 宮藤「べ、別にいいじゃないですか~」 リーネ「それじゃあ私も一緒にはいろうかな……」 ペリーヌ「リーネさん!あなたまでも!?」 俺「じゃあ俺も―――はい、冗談だ、坂本。そんなに睨むな」 坂本「言っておくが、入ってくるなよ?」 俺「この間のは気づかなかっただけだ!別に悪意はない!そ、それにシャーリーは許してくれたからな」 宮藤「え?何をですか?」 俺「あ、いやなんでもない」 宮藤「え~、教えて下さいよ~!いいじゃないですか」 俺「言えるか!」 宮藤「なんでですかぁ?もしかしてやましいことなんじゃ……」 俺「べつに俺はやましいとは思ってないぞ。あれはミスだ、ミス」 宮藤「じゃあ教えてくれてもいいじゃないですか~」 しつこく俺から聞き出そうとしてくる宮藤を若干避ける。 シャーリーと一緒に風呂にはいったなんてこの三人に聞かれたらたまったもんじゃない、例えそれがわざとじゃなくても。 シャーリー「おーい!みんなー、ご飯できたぞー」 俺「おっ!夕食ができたみたいだからいくぞ、宮藤」 宮藤「あ!俺さんってば!あとで教えて下さいよ!」 俺「めんどうだ」 坂本「宮藤、そのことならシャーリーに聞くといい」 俺「おい、坂本!よ、余計なことをいうな」 坂本「ふっ、私とて口がすべることがある」 俺「何を白々しそうに―――」 ―――…… …… 第4話「謹慎処分明け」終わり 第5話「憂愁のロマーニャ」へ
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/1617.html
D.H.N俺 第4話「謹慎処分明け」 後半部 俺『こちら、俺。敵の進路に依然代わりはないですか?』 坂本『進路変わらず、だが速度を上げてきているぞ』 俺『まったく、めんどうだな』 シャーリー『俺!見えたぞ!』 俺『今から戦闘に入る!敵の進路を阻みつつ、確実に撃墜する!』 シャーリー『俺、どうするんだ?』 俺『まずは敵の速度に合わせつつダメージを与え速度を落とすぞ。その後にコアを破壊する。ああ、あと……』 シャーリー『なんだ?』 俺『ネウロイ化せずに倒す。まだ敵がいるかもしれないしな』 青空に一点の黒粒から微かな赤い線が流れる。 その赤い線は周りの空気を跳ね除けながら俺の横をぐっと通り過ぎた。 いくつも続くその線の流れがだんだんと正確になりはじめた頃に、シャーリーに目で合図を送る。 俺『敵の攻撃に注意を払いながら、装甲を剥いでいけ!俺は進路を妨害しつつ攻撃をしかける!』 シャーリー『わかった!無理するなよ!』 シャーリーは上に、俺はネウロイの正面から速度を合わせ仕掛ける。 一気に距離をつめたネウロイが俺をまず第一の標的と定め、致命傷を狙うビームの乱射。 それに対し、俺はBARで敵のビーム門を確実に狙っていく、もちろんビームをすべて避け通して。 俺『くそっ!火力が足らねぇな』タタタタタタ! シャーリー『じゃあ、二倍だ!』タタタタタタタ! 俺『フリーガーハマーでも借りるんだったな!』 シャーリー『でもこの速さじゃあまり当たらない気もするけどな!』 俺『違いない!このネウロイ、大型と聞かされていたが大きさは大型の幕下だ!』 シャーリー『だけど速いぞ!』 俺『それに余裕でついていってるみたいだが?』 シャーリー『あたしのほうがもっと速いってことさ!』 俺の方に向かってくるビームの軌道を一目で把握し偏光ぐあいも兼ねて大きく避ける。 仕返しにと弾丸の雨を一気にふらせる、銃口から重厚な音をたてて。 さらにカウンター気味のあらゆる方向からのビームを目もくれずシールドで体を守り、後方、前方、横すべての攻撃を無力化する。 3つの黒点がとてつもない速さで空を入り乱れ、駆け巡る。 ヒュン……ビシュゥィィン……タタタタタ!タタタタタタ!パキィィィン! シャーリー『おし!あそこがコアだな』 俺『ネウロイの速度も少し落ちている。完全に再生を済ます前に集中して攻撃するぞ!』 シャーリー『了解!』 俺『俺が一発でコア上装甲の一部分を叩き飛ばす。そこを狙え、できるな、シャーリー?』 シャーリー『まかせろー!』 俺『おねんねしろ、ネウロイ』キュィィィィン… シャーリー『何をするつもりなんだ?』 俺『コアを活性化させ人間ではありえない規格外の一撃を食らわせてやるんだよ。かまえろ、シャーリー』ビキビキ シャーリー『ま、待てって!俺の体は持つのか!?』 俺『直接俺の拳を食らわせるわけじゃ……ない!』ヒュン 右腕に血管がびきびきと浮かび上がり腕に流れる血液量が早まる。その腕にBARを逆にして持ち変える。 少しだけ速度の落ちたネウロイとの距離を素早く詰め、一箇所を狙い見定め……強靭な握力を加えた。 赤いビームを空へと走らせながら、2つの黒点が急所を狙うために何度も交差。 その側でその光景を見据えながら一瞬の時を見逃すまいと、シャーリーはまばたきをせずBARを構える。 ネウロイ〈キィィィィィシュゥゥゥゥゥゥン〉 俺『(雲の中に逃げる気がだろうが……)』ヒュン シャーリー『俺!ネウロイは雲の中で私たちを離す気だ!』 俺『いつだって逃げるやつは、狩られるんだよッ!雑魚がッ!』 一瞬の逃げの姿勢を見逃さず距離を肉薄まで近づいた、狙う一部分のもとへと。 そのチャンスを逃す俺ではない。 力を凝縮、さきほどの間の戦闘でこれだけの衝撃を与えれれば装甲が砕けるであろう程度の。 剛力のみちた両腕に握りしめたブローニング自動小銃を振りかざす。 俺『砕けろ』ヒュン ネウロイ〈―――キュィィィィィィンッ!!〉ズゴッシャアアアアアアアン! 本来の用途を超えた使用方法。ハンマーの如く振り下ろされた物体。 少量の血が拡散、小銃は粉砕、甲高い悲鳴が上がる。 それは敵の殻を豪快な音を立てて打ち砕き、響き渡る金属音とともに白塵をめいっぱいに散らせた。 内には真っ赤な敵の心臓―――コア。 俺『いけぇっ!』ピッ シャーリー『終わりッ!』タタタタタタ! ガガガガガガガガガガガッ……ピシッ! パキィィィィィィィィィィィィィィィィィィン―… 確実な状況を得た、シャーリーのコアを目掛けた射撃。 流し込まれた銃弾により見事敵のコアを破砕。 それと同時に、体裁を保てなくなった敵はまばゆい光とともに爆発するように砕け散った。 シャーリー『よっしゃぁー!!』 俺『よしっ!!』 パァァンッ! そこで高い音を空に響かせてハイタッチ。 気分の高揚が実に心地いい。 シャーリー『お~、結構手間はかからなかったな~』 俺『敵は速いだけだったからな。……最後、よく狙い撃てたな』 シャーリー『ん?』 俺『高速度でコアだけをめがけて撃ち通すのはなかなか難しいんだぞ。よくやった』グッ シャーリー『そりゃ一応訓練してるからな。まぁ俺がチャンスを作ってくれたから、ミスするわけにもいかないしな!』 俺『そりゃ、ありがたいな』 ザザッ― 坂本『シャーリー、俺。こちらでもネウロイの消滅を確認した。お疲れ様だ』 俺『じゃあ今から帰投します』 坂本『ああ、気をつけてな』 俺『ふぅ。じゃあ帰るか、シャーリー』スッ シャーリー『へ?』 ふと手を伸ばす。 なんとなく信頼の意味も含めて握手でもしたかったのだろうけども。 少し違う意味に捉えられたのかもしれない。 シャーリー『え、えっと手をつないで帰るのか?』 俺『あ……えーと。あー……まぁ、それでいいか』 強引だ、と言われて少し怒られるかもしれないが、俺はシャーリーの手をとった。 そのすべすべの手(軽く汗ばんでいるが)を軽く握りしめ、基地へと向けゆっくりと飛び出す。 若干照れ隠しに微笑むシャーリーの表情が可愛かった。 シャーリー『あ、あははっ……ち、ちょっと汗かいたし帰ったらシャワーでもあびるか~』 俺『じゃあ俺はそのあとで浴びるか』 シャーリー『今日も一緒にはいるか~?』 俺『ぜひ……じゃなくて、はいらないぞ。絶対に入らないぞ』 シャーリー『あははっ!でも坂本少佐が裸の付き合いは必要だー!っていってたぞ』 俺『それは同性同士の話だ』 シャーリー『そういえば俺はまだ生身でも戦えるんだな~、いったいどこに魔法力があるんだ?』 俺『人体拡張反応コアが基本的に魔法力を補充している。たぶん近々詳しい話をすると思うぞ』 シャーリー『近々ってどういうことだ?』 俺『なんとなくそんな気がしてな。勘は当たる方なんだ』 シャーリー『よし!じゃあそんときにしっかり聞くからな。ちゃんと包み隠さず話すんだぞ』 俺『そうは言われても機密事項もあるからなぁ』 シャーリー『みんな密かに知りたがってるんだぞ』 俺『はぁ……言えることだけ話すさ。それにしてもなんでそんなに知りたがるんだ?』 シャーリー『あ、いや、なんとなくだよ!』 あたふたするシャーリーを見つつ、基地が見えてきたので少しずつ減速させる。 表情がころころと変わって見てて飽きないやつだ。 最初はどうなるかと思ったが、なんとかここでやっていけそうな気がする。 最後まで。 それから一日経って宮藤とリーネ、ペリーヌの三人が無事?修行を終えて帰ってきた。 少々愚痴でも垂れるのかと思いきや、またアンナさんのとこいきたいね、などと話していた。 端っこでその様子を伺っていた俺は二度と行きたくないと思っていたのだ。 宮藤「基地が懐かしいな~」 ペリーヌ「基地を離れてからそんなに経っていないでしょうに」 俺「あのばあさん、めんどくさかっただろう?」 宮藤「あ、俺さん。全然いい人でしたよ!」 リーネ「いい人っていえばちょっと違うかもしれないけど……」 ペリーヌ「ふん、二度と見たくありませんわね」 坂本「まぁそういうな、ペリーヌ。で、全員修行の方はちゃんとできたのか?」 リーネ「はい!ちょっと時間がかかっちゃいましたけど」 坂本「ふむ。じゃあ明日からまた訓練に戻るぞ」 宮藤「えぇ!?少しは休ませてくださいよ~……」 坂本「何を怠けたことを言ってるんだ。お前たち三人はただでさえ戦線を離れていたというのに」 俺「今日はゆっくり休むといい。ご飯はシャーリーたちがつくってくれてる」 ペリーヌ「今日は疲れましたからすぐに寝たほうがいいですわね」 坂本「ペリーヌ、今日はしっかり体を休めておけよ」 ペリーヌ「はいぃ、少佐!よければ今日もお風呂にご一緒してもよろしいですか!?」 坂本「おっ、全然かまわないぞ。みんなで入るほうが楽しいからな」 宮藤「あ、じゃあ私も一緒に~」 ペリーヌ「くっ……この豆狸……私と少佐のひとときを邪魔しにかかるなんて」 宮藤「べ、別にいいじゃないですか~」 リーネ「それじゃあ私も一緒にはいろうかな……」 ペリーヌ「リーネさん!あなたまでも!?」 俺「じゃあ俺も―――はい、冗談だ、坂本。そんなに睨むな」 坂本「言っておくが、入ってくるなよ?」 俺「この間のは気づかなかっただけだ!別に悪意はない!そ、それにシャーリーは許してくれたからな」 宮藤「え?何をですか?」 俺「あ、いやなんでもない」 宮藤「え~、教えて下さいよ~!いいじゃないですか」 俺「言えるか!」 宮藤「なんでですかぁ?もしかしてやましいことなんじゃ……」 俺「べつに俺はやましいとは思ってないぞ。あれはミスだ、ミス」 宮藤「じゃあ教えてくれてもいいじゃないですか~」 しつこく俺から聞き出そうとしてくる宮藤を若干避ける。 シャーリーと一緒に風呂にはいったなんてこの三人に聞かれたらたまったもんじゃない、例えそれがわざとじゃなくても。 シャーリー「おーい!みんなー、ご飯できたぞー」 俺「おっ!夕食ができたみたいだからいくぞ、宮藤」 宮藤「あ!俺さんってば!あとで教えて下さいよ!」 俺「めんどうだ」 坂本「宮藤、そのことならシャーリーに聞くといい」 俺「おい、坂本!よ、余計なことをいうな」 坂本「ふっ、私とて口がすべることがある」 俺「何を白々しそうに―――」 ―――…… …… 第4話「謹慎処分明け」終わり
https://w.atwiki.jp/falcom_staff/pages/19.html
ゲーム一覧(年代順) 1980年代 1984-03-12 デーモンズリング 1984-04-10 アステカ 1984-09-10 ドラゴンスレイヤー 1985-11-01 ザナドゥ 1986-10-01 ザナドゥ シナリオII 1986-10-06 ロマンシア 1986-10-24 太陽の神殿 アステカII 1987-06-21 イース Ancient Ys Vanished Omen 1987-07-10 ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー 1987-07-17 ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー(ファミコン版) 1987-10-08 イース(FM77版) 1987-12-20 ソーサリアン 1988-04-22 イースII Ancient Ys Vanished The Final Chapter 1988-06-24 イースII(X1turbo版) 1988-07-22 ソーサリアン 追加シナリオVol.1 1988-07-22 ソーサリアン ユーティリティVol.1 1988-10-21 戦国ソーサリアン 1988-12-23 ピラミッドソーサリアン 1989-03-23 スタートレーダー 1989-07-21 ワンダラーズ フロム イース(非公表) 1989-12-10 ドラゴンスレイヤー英雄伝説(非公表) 1990-1994年 1990-12-21 ダイナソア(非公表) 1991-03-21 ロードモナーク(非公表) 1991-10-25 ブランディッシュ 1991-12-20 ぽっぷるメイル 1992-03-19 ドラゴンスレイヤー英雄伝説II 1992-05-22 ぽっぷるメイル(PC-9801版) 1992-07-24 ドラゴンスレイヤー英雄伝説II(PC-9801版) 1993-03-12 ブランディッシュ2 THE PLANET BUSTER 1994-02-18 風の伝説ザナドゥ 1994-03-18 英雄伝説III 白き魔女 1994-06-10 ぽっぷるメイル(SFC版) 1994-11-25 ブランディッシュ3 SPIRIT OF BALCAN 1995-1999年 1995-03-10 ブランディッシュ Renewal 1995-04-28 リバイバルザナドゥ 1995-06-30 風の伝説ザナドゥII 1995-07-21 ブランディッシュ2 Renewal 1995-09-29 ブランディッシュ3 Renewal 1995-12-08 リバイバルザナドゥ2(「リバイバルザナドゥ2リミックス」より) 1995-12-29 イースV 失われた砂の都ケフィン 1996-05-24 英雄伝説IV 朱紅い雫 1996-10-04 ブランディッシュVT 1996-12-20 ロードモナークオリジナル 1997-04-25 新英雄伝説 1997-06-27 ソーサリアンフォーエバー 1997-12-12 ヴァンテージマスター 1998-04-24 イースエターナル 1998-10-30 モナークモナーク 1998-12-11 ブランディッシュ4 眠れる神の塔 1999-04-23 新英雄伝説III 白き魔女(Windows版) 1999-10-08 西風の狂詩曲 1999-12-09 英雄伝説V 海の檻歌 2000-2004年 2000-07-06 イースIIエターナル 2000-11-09 ソーサリアンオリジナル 2000-12-07 英雄伝説IV 朱紅い雫(Windows版) 2001-06-28 イースI完全版(「イースI・II完全版」より) 2001-12-20 ツヴァイ!! 2002-06-27 VM JAPAN 2002-12-19 ダイナソア リザレクション 2003-03-27 月影のデスティニー 2003-09-27 イースVI ナピシュテムの匣 2004-06-24 英雄伝説VI 空の軌跡 2004-12-24 ぐるみん 2005-2009年 2005-06-30 イース フェルガナの誓い 2005-10-27 ザナドゥネクスト 2006-03-09 英雄伝説 空の軌跡SC 2006-06-29 ぐるみん(PSP版) 2006-09-28 英雄伝説 空の軌跡FC(PSP版) 2006-12-21 イースオリジン 2007-06-28 英雄伝説 空の軌跡 the 3rd 2007-09-27 英雄伝説 空の軌跡SC(PSP版) 2008-04-24 ヴァンテージマスターポータブル(PSP版) 2008-07-24 英雄伝説 空の軌跡 the 3rd(PSP版) 2008-09-25 ツヴァイ2 2008-12-11 ツヴァイ!!(PSP版) 2009-03-19 ブランディッシュ ダークレヴナント(PSP版) 2009-07-16 イースI&IIクロニクルズ 2009-09-17 イースSEVEN 2010-2014年 2010-04-22 イース フェルガナの誓い(PSP版) 2010-07-29 イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ 2010-09-30 英雄伝説 零の軌跡 2011-09-29 英雄伝説 碧の軌跡 2012-07-26 那由多の軌跡 2012-09-27 イース セルセタの樹海 2012-12-13 英雄伝説 空の軌跡FC:改 HD EDITION(PS3版) 2013-04-25 英雄伝説 空の軌跡SC:改 HD EDITION(PS3版) 2013-06-27 英雄伝説 空の軌跡 the 3rd:改 HD EDITION(PS3版) 2013-09-26 英雄伝説 閃の軌跡 2014-09-25 英雄伝説 閃の軌跡II 2015-2019年 2015-09-30 東亰ザナドゥ 2016-07-21 イースVIII Lacrimosa of DANA 2016-09-08 東亰ザナドゥ eX+(PS4版) 2017-05-25 イースVIII Lacrimosa of DANA(PS4版) 2017-09-28 英雄伝説 閃の軌跡III 2018-03-08 英雄伝説 閃の軌跡I:改 -Thors Military Academy 1204-(PS4版) 2018-04-26 英雄伝説 閃の軌跡II:改 -The Erebonian Civil War-(PS4版) 2018-09-27 英雄伝説 閃の軌跡IV 2019-05-16 イース セルセタの樹海:改(PS4版) 2019-09-26 イースIX Monstrum NOX 2020-2024年 2020-04-23 英雄伝説 零の軌跡:改(PS4版) 2020-05-28 英雄伝説 碧の軌跡:改(PS4版) 2020-08-27 英雄伝説 創の軌跡 2021-06-24 那由多の軌跡:改(PS4版) 2021-09-30 英雄伝説 黎の軌跡 2022-05-26 那由多の軌跡 アド・アストラ(Switch版) 2022-07-28 英雄伝説 黎の軌跡(PS5版) 2022-09-29 英雄伝説 黎の軌跡II -CRIMSON SiN-(PS5/PS4) 2023-04-27 イース・メモワール -フェルガナの誓い-(Switch版) 2023-06-29 東亰ザナドゥeX+ for Nintendo Switch(Switch版) 2023年内 イースX -NORDICS-(PS5/PS4/Switch)
https://w.atwiki.jp/falcom_staff/pages/197.html
株式会社フィールドワイ Field-Y Co, Ltd ※外注・協力会社 タイトル 担当 備考 1995-06-30 風の伝説ザナドゥII スペシャルサンクス 1999-12-09 英雄伝説V 海の檻歌 Special Thanks 2004-12-25 ぐるみん スペシャルサンクス 2005-10-27 ザナドゥネクスト Special Thanks 2006-03-09 英雄伝説 空の軌跡SC Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2006-06-29 ぐるみん(PSP版) スペシャルサンクス 2006-09-28 英雄伝説 空の軌跡FC(PSP版) Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2007-06-28 英雄伝説 空の軌跡 the 3rd Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2007-09-27 英雄伝説 空の軌跡SC(PSP版) Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2008-04-24 ヴァンテージマスターポータブル Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2008-07-24 英雄伝説 空の軌跡 the 3rd(PSP版) Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2008-09-25 ツヴァイ2 Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2008-12-11 ツヴァイ!!(PSP版) Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2009-09-17 イースSEVEN Voice WorkPRODUCER 吉田隆Special Thanks 2010-04-22 イース フェルガナの誓い(PSP版) Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2010-07-29 イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2010-09-30 英雄伝説 零の軌跡 Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2011-09-29 英雄伝説 碧の軌跡 Voice WorkProducer 吉田隆Special Thanks 2012-07-26 那由多の軌跡 Voice WorkProducer 吉田隆Assitant producer 小渕智幸Special Thanks 2012-09-27 イース セルセタの樹海 Voice WorkProducer 吉田隆Assitant producer 小渕智幸Special Thanks 2013-09-26 英雄伝説 閃の軌跡 ボイスワークプロデューサー 吉田隆制作担当 小渕智幸Special Thanks 2014-10-25 英雄伝説 閃の軌跡II ボイスワークプロデューサー 吉田隆制作担当 小渕智幸スペシャルサンクス 2015-09-30 東亰ザナドゥ ヴォイスワークプロデューサー 吉田隆制作担当 小渕智幸スペシャルサンクス 2016-07-21 イースVIII Lacrimosa of DANA ヴォイスワークプロデューサー 吉田隆制作担当 小渕智幸スペシャルサンクス 2016-09-08 東亰ザナドゥ eX+ ヴォイスワークプロデューサー 吉田隆制作担当 小渕智幸スペシャルサンクス 2017-05-25 イースVIII Lacrimosa of DANA(PS4版) ヴォイスワークプロデューサー 吉田隆制作担当 小渕智幸スペシャルサンクス
https://w.atwiki.jp/lcss/pages/143.html
ある日の放課後、僕は生徒会室でシャーリーと一緒に書類に目を通していた。 「今日は他に誰も来ないのだろうか。ミレイさんが家の用事で先に帰るのと、スザクが軍の仕事で来られないのは、昨日聞いたが」 僕がそう言うと、シャーリーが顔を上げて答える。 「えっとね、ニーナは大学の研究室に用事があるみたい。カレンは何も聞いていないけど、多分病院じゃないかなあ。もしかしたら、遅れて来るかもしれないけどね」 「なるほど。じゃあ、ルルーシュとリヴァルは?」 僕が二人の名前を出した途端、シャーリーの表情が不機嫌そのものになる。 「ああ、さっきリヴァルのバイクに二人仲良く乗って、どこかへ行っちゃった。どうせまた、賭けチェスだと思うけど。 まったく、『仕事があるんだから残って』って休み時間に声をかけておいたのに」 「適当にはぐらかされてしまったのか、君も大変だったな」 僕が苦笑いすると、シャーリーは肩をすくめた。 「うん、まあね。だから助かったよ、ライ君がいてくれて。君は仕事が正確で速いから、二人で頑張ればきっと今日中に片づくよ」 「僕自身は、自分のことは大したことないと思っているんだがな。だが君に期待されている以上、全力は尽くそう」 僕たちは笑い合うと、再び仕事に取り掛かった。 それからしばらく時間が過ぎた頃、ある程度仕事を片づけた僕たちは、少し休憩することにした。 「あっ、そうだ。ライ君に聞きたいことがあるんだけど」 机を隔てた僕の向かい側の椅子に座って伸びをしながら、シャーリーが声をかけてきた。 「聞きたいことって何だ?答えられる範囲なら答えるが」 「ありがとう。じゃあ早速なんだけど、最近カレンとはどうなのかな?」 「カレンと?うーん」 興味深々のシャーリーに聞かれ、僕は考えた。カレンには学園でお世話係主任として関わってもらっているだけでなく、最近では黒の騎士団における仲間として、背中を預け合っている。 シャーリーに騎士団のことは話せないが、この場合、「カレンとは互いに信頼し合っている」とでも言えばいいのだろうか。 「まあ、互いに信頼し合えるいい関係だと思う。彼女には色々と世話になっているし、いくら礼を言っても言い尽くせないかもな」 「へえ、そうなんだ。友人としては、結構いい感じみたいだね。じゃあさ、一人の女の子として彼女のことはどう思う?」 「女の子として?」 シャーリーに次の質問をされ、僕は再び考える。この質問の意図としては、「カレンは僕から見てどんな女の子か」ということを指すのだろうか。 まさか「男勝りで熱血で、玉城におちょくられたら拳で応える元気な子だ」なんて、口が裂けても言えないよな。 「そうだなあ。やはりお嬢様らしくおしとやかで、一見近寄りがたい所もあるけれど、実は面倒見のいい優しい人だと思う。多くの男子に人気があるのも頷ける」 「うーん、私が聞きたいのはそういうことじゃないの。あっ、でもライ君ってそういうのに鈍感っぽいから、わかるかなあ」 シャーリーが首を横に振った後、一人で何か言っている。何か、あまりいい印象を与えないっぽい言葉が出た気もするんだが。 「じゃあ、どういう意味で聞いたんだ?」 「あ、うん。えっとね、その…カレンのことをす……」 少し恥ずかしそうに言葉を紡いでいたシャーリーの動きが、突然ピタッと止まる。そして何やら、自分の足元付近を見回している。 「ん?どうしたんだ」 「う…嘘。でも今のって確かにアレ、だよね?」 「いや、アレと言われても」 シャーリーが机の下で何を見つけたのかわからず、僕が足元に視線を移した時だった。 「きゃあああっ!」 「うわっ、シャーリー!?」 突然シャーリーが悲鳴を上げ、椅子から転げ落ちた。僕はあわてて椅子から立ち上がり、シャーリーの近くに駆け寄る。 「シャーリー、どうしっ……」 僕が駆け寄ると、椅子が横倒しになり、その隣でシャーリーが床にへたり込んでいた。その綺麗な脚をこちらに向け、微妙に開いた状態で。 丈の短いスカートの中が見えそうになり、僕は瞬時に目をそらす。 「で、で、出たの!ゴキブリ!」 「ゴ、ゴキブリ?」 僕は周囲を見渡すが、床の上にはそれらしき生物はいない。 「別にいないぞ」 「本当だよ、本当に黒い虫がいたんだってば!こっちの方も見てよ!」 「いや、『こっち』というのが君のいる方向だというのは理解できるが、その……」 僕は相変わらずシャーリーから視線をそらし、少し熱くなった頬を指で掻きながら指摘する。 「学園のスカートは、結構短い。仮にも男の前でその姿勢でいるのは、そろそろ…だな」 「え?……きゃあっ!」 自分の姿勢に気づいたシャーリーが、あわててスカートを上から押さえながら、床に座り直した。そして顔を真っ赤にしながら、僕に尋ねてくる。 「もしかして、見ちゃったとか?」 「いや、それはない。断じて見ていないから、安心してくれ」 一瞬白い布状の物が見えなかった気がしないでもないが、シャーリーのためにこの記憶は全力で抹消しよう。 「しかし、ゴキブリなんてどこから入ったんだ。学園内は結構綺麗だと思うんだが」 その後、僕はシャーリーと隣り合って椅子に座っていた。彼女の気持ちも、少し落ち着いてきたらしい。 「どうなんだろうね。でもゴキブリって、一応飛ぶんでしょ?校舎のどこかの窓が開いている隙に、そこから入ったのかも」 「可能性はないとは言えないな。しかしすごい驚きようだったが、ゴキブリは苦手か?」 僕が尋ねると、シャーリーは顔をしかめて答えた。 「当然だよ、大嫌い。何だか黒光りして、気持ち悪いじゃない。あんなゾッとするような虫を好きな人なんて、いないんじゃないかな」 「随分な言いようだな。そこまで言うなら、やはりゴキブリは多くの人から嫌われ…いや、ごくまれにそうじゃない人もいるかもしれないんだろうけど」 一瞬卜部さんのことを思い浮かべ、僕はシャーリーに完全に同意するのをやめた。あの人の場合、虫という虫が好きだからな。それこそ、胃袋に収めてしまうくらいに。 「でも困ったなあ。ゴキブリがいると思うだけで、仕事に集中できないよ」 シャーリーが、困り顔で言う。 「よし、僕が捕まえよう。確か殺虫剤があったよな」 僕がそう言って、椅子から立ち上がった瞬間だった。僕たちの足元を、黒い何かが横切っていく。間違いない、ゴキブリだ。 「きゃあああっ!」 「言ったそばから!」 シャーリーが悲鳴を上げ、僕はゴキブリを追った。 「机の下に入ったはずだが、どこだ」 殺虫剤を探す時間が惜しかったため、僕は部屋の隅にあった古新聞を丸く包み、構える。 「どこ、どこ?」 僕の近くで、シャーリーがオロオロしている。そして間もなく、入り口側の机の下からゴキブリが出てきたのを、僕は見つけた。 「いつの間にあんな所へ!」 ゴキブリが部屋の入り口とは反対方向に走り、僕はそれを追った。シャーリーも怖がりつつ、結末を見届けるために後からついてくる。 「よし、隅に追い詰めたぞ。叩くのは忍びないが、許してくれ」 丸めた古新聞を片手に、僕は祈った。 「ラ、ライ君……」 シャーリーが僕の少し後ろに立ち、怯えながらゴキブリを見つめる。 「よし、せーの!」 僕が古新聞を振りかぶろうとした、その時だった。何とゴキブリが、その黒い羽根を突然広げ、僕たちの頭上目がけて飛び立ったのだ。 「きゃあああっ!飛んだ飛んだ、怖い怖い!」 「ちょっとシャーリー、落ち着いて!」 シャーリーが泣き叫び、僕の服の袖をつかむ。僕は何とかゴキブリを追おうとするが、うまく身動きが取れずにいた。 そしてゴキブリの鈍い羽音が二人の耳元をかすめ、彼女の動揺が頂点に達した。 「やああっ!」 「ちょっ、うわっ!」 僕たちはもつれるように、床の上に倒れ込んでしまった。そしてゴキブリは、何事もなかったかのように少し離れた床の上に着地する。 「だ、大丈……!」 「いたた。ごめんねライ君、私のせい…で!?」 自分たちの状況を理解した僕とシャーリーは、同時に絶句した。僕が彼女を床の上に押し倒す格好になり、もう数センチ近ければ二人の唇が重なりそうなくらい、僕たちの顔は接近していた。 「「ご、ごめん!」」 僕たちが動揺し、同時に相手に謝った時だった。 「失礼します、遅れまし……」 生徒会室の扉を開け、カレンが入ってきた。そして僕とシャーリーの姿を見つけ、硬直する。 三人の瞳が一点に交わったまま、大変気まずい空気が室内に流れ始めていた。 「カ、カレン!違うの、これはね!」 「違うんだ、別にこれはやましいことがあったわけでは……」 あわてて弁解しようとする僕とシャーリーを見下ろし、カレンが不気味なくらい落ち着いた声で言った。 「もしかして私、お邪魔だったかしら?」 まずい、何だかすごく怒っている。まあこんな場所で男が一方的に女性を押し倒しているのを見れば、女性としては怒るのかもしれない。とにかく、何とか誤解を解かないと。 「と、とにかくこれは誤解なんだ。僕とシャーリーは何も……」 「だったら、いつまでシャーリーを押し倒しているのかしらね?」 「あっ!す、すまないシャーリー!」 僕はあわててシャーリーの上からどいて、彼女を助け起こした。そして二人で床に座り、カレンを見る。 (あっ、カレンの足元にゴキブリが) その時、僕はカレンの足元にゴキブリがいるのを見つけた。 「あら、ゴキブリ」 カレンもそれに気がついたのか、静かにゴキブリを見ている。やがてゴキブリは、開け放たれた部屋の扉から外へ出ていった。 「よ、良かったぁ……」 その様子を見届けたシャーリーが、安堵のため息をつく。 「実はさっきから、あのゴキブリを捕まえようとしていたの。でも急に飛んだから私がびっくりしちゃって、それでね……」 「あ、もしかしてそれでさっきの体勢に?」 「そう、そうなの!だからね、私はライ君とは何もなかったよ!ねえ、ライ君?」 「ああ、そうだ。僕たちにやましいことは何もない」 シャーリーに同意を求められ、僕は何度も強く頷いた。するとカレンが、微笑んで言う。 「何だ、そうだったのね。ごめんなさいねシャーリー、誤解しちゃって」 「ううん、いいよ。確かに私たち、紛らわしい状態だったから。本当にごめんね」 「別にいいわ、シャーリーは…ね」 カレンが少し怖いくらいの笑みを、僕に向けてきた。それは外見では判断できないが、一緒にいる時間が長く、かつ彼女の素顔を知っている僕にはわかる。 もしかして、まだ怒っているのか。誤解は解けたはずなのに。 「ライ、後で少し話し合いましょうか。私は少し用事があるから、また後で『じっくりと』ね」 何故か「じっくり」の部分に力を入れ、カレンは僕にそう告げると、生徒会室から出ていった。 「な、なあシャーリー。まだカレンは怒っているんだろうか」 するとシャーリーは、微妙な笑顔で答えた。 「うーん、あんなのを見ちゃったからねえ。多分、怒っていると思うよ」 「何故だ、誤解は解けたはずじゃないか」 「女心は複雑なんだよ、色々とね。その様子だと、まだライ君にはわからないか」 そう言ってシャーリーは肩をすくめ、僕は首を傾げた。どういう意味なんだ、彼女は何か知っているらしいが。 「とにかく、ちゃんと仲直りしなよ。私も二人のこと、応援しているんだからね」 「あ、ああ。仲直りは当然だが、何を僕たちは応援されているんだ?」 するとシャーリーは、いたずらっぽい笑みを浮かべて言った。 「何でもないよ。でもきっと、ライ君だっていつか理解できるはずだから。それと、さっきはごめんね」 結局シャーリーが言うことの意味が何なのか、僕にはわからなかった。 その後。少しだけ残っていた仕事を片づけた後、僕はアジトへ行ってカレンに会った。何を怒っているのかは彼女の口から語られず、代わりに模擬戦を申し込まれた。 その日の紅蓮の動きは抜群で、僕の乗る試作型月下は常に劣勢に立たされ、結果は完敗。また模擬戦が終わってからの彼女は上機嫌そのもので、結局僕は何も知らないまま許されることになった。 ちなみに、その時の彼女の怒りの原因が嫉妬だったことを僕が知るのは、特区日本が成立して彼女と付き合い始めてしばらくのことである。 余暇 43 *
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/470.html
異世界のウィッチその3 ――――――――― ドタドタ ルッキ「シャーリー!」バーン! シャーリー「お、やっぱり来たか」 俺「・・・あんたの差し金かよ」 シャーリー「まあな。良かったな、ルッキーニ」 ルッキ「うん!あ、シャーリーもしよー」 シャーリー「ああ、いいぞ」 ルッキ「うん!・・・じゃ、探しにいこー!」 シャーリー「おおー!」 ・・・いや、ちょっと待て。 俺「おい」 ルッキ「ん?なにー?」 俺「三人で鬼やるのか?」 ルッキ「うん!」 ・・・マジかよ。 ―――――――――基地内 ルッキーニは先行してどっかに行っちまったので、 俺とシャーリーの二人で隠れている奴ら(宮藤・リネット・ペリーヌ・ハルトマン)を探すことにした。 俺「・・・あいつら、隠れるの上手いな」 5分は隠れそうなところを探しているのに、影すら見えない。 シャーリー「ま、普段からルッキーニに絡まれてつき合わされてるからな。自然に上手くなったんだろうな」クスッ 俺「・・・ったく・・・」クスッ シャーリー「・・・お、今笑ったな」 俺「・・・」 あんたにつられて出た苦笑みたいなもんだけどな。 シャーリー「二ヶ月ぶりじゃないか」 俺「・・・笑うような出来事がなかったからな」 シャーリー「中に入れば笑えるような出来事があっても、それに入り込もうとしなかったんだろ」 俺「・・・」 ・・・そう、なのだろうか。 シャーリー「ハルトマンも言ってたろ、お前は笑ってるほうがいいってさ」 俺「・・・」 シャーリー「・・・なあ、俺」 俺「なんだよ」 シャーリー「悩みがあるなら相談しろよ。私たちは仲間だろ?」 俺「・・・俺の場合は相談したって解決するような悩みじゃないんだよ。それに、俺は」 シャーリー「俺はお前らのことを仲間だなんて思ってない、とでも言うつもりだろ?」 俺「・・・」 やっぱり、魔女って人の心を読めるのか? シャーリー「残念だけどな、私たちの中でお前のことを仲間じゃないなんて思ってる奴はいないぞ」 俺「・・・そうなのか?」 シャーリー「ああ。それに、ぶつくさ言いながらでも一緒に戦ってくれるお前のこと、私は嫌いじゃないぞ」 ・・・ シャーリー「あとな、初めから解決しないって決め付けるのはどうかと思うぞ」 俺「・・・なにか、方法を知ってるのかよ?」 シャーリー「いや、知らないけど」 俺「・・・ハッ、なんだよそれ・・・馬鹿じゃねーのか」 シャーリー「・・・やっぱり、お前は笑ってるほうがいいぞ」ニコッ 俺「・・・余計なお世話だ」クスッ シャーリー「・・・なあ、俺?」 俺「なんだよ」 シャーリー「答えたくないならいいけど、お前、元の世界でやり残したこととか、あるのか?」 俺「・・・」 考えてみた。やりのこしたこと・・・。 俺「・・・両親」 シャーリー「え?」 俺「・・・両親に、別れの言葉を言えなかった」 シャーリー「・・・」 俺「それだけが、心残りだ」 ・・・言われて思った。俺は、本当に元の世界に帰りたいのだろうか。 それだけのことを、切実に思っていたのだろうか。 両親にたった一言言いたいがために、周りをギスギスさせてしまっていたのだろうか・・・ ―――――――――――― 外で大声が聞こえた。 ルッキ「あー!中尉みっけー!」 シャーリー「おっ、行ってみるか」 俺「ああ」 ――――――――― 声の方向へ駆けつけてみた。 エーリカ「ありゃ~、見つかっちゃったか~・・・ふぁーぁ・・・ん?やあ、俺」 俺「・・・どこに隠れてたんだよ」 エーリカ「木の上」 俺「は?」 ルッキ「中尉、寝てたよね」 シャーリー「あー・・・」 エーリカ「うん、かくれんぼのついでに昼寝しようと思ってさ」 ・・・どんだけ自由人なんだよ。 俺「・・・そこで寝て大丈夫なのか?身体痛くなるだろ」 エーリカ「大丈夫大丈夫。さて、他の人も探さないとねー・・・俺、一緒に探そ」 俺「わかった」 ルッキ「じゃあシャーリー、一緒に探そ」 シャーリー「ああ」 ―――― またもや探すこと3分。 エーリカ「いや~、見つかんないねぇ」 俺「・・・どこに隠れたのか見当はつかないのか」 エーリカ「みんなバラバラに隠れないと意味が無いからねぇ。まったく見当つかない」 俺「・・・はぁ」 俺は溜め息をついた。 エーリカ「溜め息は幸せが逃げるよ」 その迷信ってこの時代からあったのか? 俺「溜め息程度で逃げる幸せなんかいらねーよ。それに、あんただって溜め息くらいつくだろ?」 エーリカ「まあ、そうだけどね。・・・君の場合、その溜め息程度が積み重なって、 こんな異世界に飛んじゃうなんて不幸が起こっちゃったのかもしれないよ?」 俺「・・・」 エーリカ「・・・でも、君みたいな良い人が不幸になるなんて、納得いかないねぇ」 はぁ? 俺「・・・お前、俺の何を見てきたんだよ。俺が良い奴になんて見えるか?」 エーリカ「見える見える。・・・この基地の中じゃ、誰も君の事を悪い奴だなんて思ってないよ」 俺「・・・」 エーリカ「悪い奴だとは思ってないけど・・・」 俺「・・・なんだよ」 エーリカ「このままだと、嫌な奴に格下げされちゃうかもしれないよ」 俺「・・・それでいいのに。そのほうが楽だよ。元の世界に帰るとき、なんの後悔も無く帰れるのに」 エーリカ「ダメだよ。君が良くても、私達がよくない」 俺「・・・」 エーリカ「そんな別れ方じゃなくてさ、どうせなら、もっと、惜しむような別れかたをしようよ。 私は、そんな、お前が居なくなってせいせいするぜ、みたいな別れ方はしたくないんだ。 だからさ、俺。お互い、爽やかな別れかたをするために、君には私達を受け入れて欲しい」 俺「・・・受け入れてるさ」 嘘を付いた。・・・二ヶ月経った今でも、俺はこの世界の何も受け入れてなんていない。 エーリカ「嘘付け」 ・・・やっぱり・・・魔女って、心読めるんだな。 俺「・・・バレたか。俺って、そんなにわかりやすいか?」 エーリカ「うん。凄く。・・・で、どう?」 俺「・・・考えておく」 エーリカ「うん。それでいいんだよ。・・・まあ、ようするにさ、 無理して突き放そうとしないで、今を楽しく、気楽に生きようよってことだよ」 俺「あんたみたいにか?」 エーリカ「あ、それはやめといたほうがいい。口うるさい軍人にしょっちゅう説教を食らうことになるから」 俺「ハハッ」 エーリカ「・・・あ」(ようやく笑ってくれた・・・) 俺「どうした?」 エーリカ「なんでもないよ。・・・あっ」 エーリカ「リーネ見っけ!」 ――――――――― リーネ「見つかっちゃいましたか・・・ってあれ?」 俺「なんだよ?」 リーネ「俺さんもやってるんですか?」 俺「・・・まあな」 タッタッタッ ルッキ「あ!リーネ見つかったの!?」 エーリカ「うん」 ルッキ「そっかー・・・じゃあ、次は、俺!一緒に芳佳を探そ!」 俺「わかったわかった、わかったから引っ張るな!」 シャーリー「じゃ、私たちも三人で探すか」 リーネ・エーリカ「了解!」 ―――――――― ルッキ「うじゅ~・・・芳佳見つかんない・・・」 さっきからそればっかりだな。お前ペリーヌのこと忘れてるだろ。 俺「・・・こういう場合、意外な場所にいたりするんだよな」 ルッキ「そうなの~?」 俺「・・・例えば、・・・どこだろ」 ルッキ「じゃあ、談話室行ってみる?」 ・・・意外とあるかもしれないな。 俺「行ってみるか」 ルッキ「うん!」 ・・・ ふと、疑問に思った。 俺「おい、ルッキーニ」 ルッキ「なぁに?」 俺「なんでお前、俺をかくれんぼに誘ったんだ?」 ルッキ「ん~?えとねー、一緒に遊びたいから!」 ・・・ 俺「・・・なんで、俺と一緒に遊びたいんだ?」 ルッキ「もっと、俺と仲良くなりたいから!」 俺「なんで、俺と仲良くなりたいんだ?」 ルッキ「仲が悪いよりは良い方がいいでしょ? それに、えと、仲良くなって、もっともっと、俺のことを知りたいの!それに・・・」 俺「それに?」 ルッキ「俺、ずっと怖い顔してばっかりだったから・・・ 一緒にかくれんぼして、笑ってくれたらいいなって、思ったの」 俺「・・・そうか」クスッ ルッキ「あ、笑った!」 ―――――――― 本当に宮藤は談話室にいた。ルッキーニ達がいなくなったのを見計らって談話室に戻ったらしい。 宮藤「よくわかりましたね!見つからない自信あったのに」 灯台下暗しってやつだな。 ルッキ「俺が言ったんだよ!意外なところに隠れてるかもって」 宮藤「俺さんが?」 俺「・・・まあな」 俺はそっぽを向いた。 宮藤「・・・良かった。俺さん、元気になったみたいで」 俺「は?」 再び宮藤のほうを向いた。 宮藤「みんな、俺さんが元気ないって心配してたんですよ」 俺「・・・」 宮藤「・・・俺さん。辛いことがあるなら、私達が支えてあげますよ。遠慮なく頼ってください。 ・・・だから、私達が辛いときは、私達を支えてくださいね、俺さん。私達、俺さんのこと、信頼してますから」 ・・・この世界の奴らは、わけがわからない。 俺「・・・俺はそんなに大したことはできないけどな。ま、考えとくよ」 宮・ル「!」 これでルッキーニは満足したようで、シャーリー達を探した後、かくれんぼの終了を宣言した。 おい待てルッキーニ。だから誰か忘れてるだろ。 ペリーヌ「・・・」 ――――――― ミーナ「ルッキーニさんと遊んであげたんですって?」 夕食の後、ミーナから尋ねられた。 俺「まあな」 ミーナ「・・・ふふっ、良かった」 俺「良かった?」 ミーナ「ええ。少しは打ち解けてくれたみたいで嬉しいわ」 ・・・本当に、この世界の奴らは、わけがわからない。 俺「なあ、教えてくれないか」 ミーナ「なにかしら?」 俺「なんで、みんな、俺なんかに、こんなに良くしてくれるんだ?」 ミーナ「・・・どうしてかしらね。私にもよくわからないけど、放っておけないっていうか・・・ とにかく、みんなあなたのことは単なる戦力とだけ考えてるわけじゃないのは確かよ。私も含めてね」ニコッ ――――――――俺の部屋 俺「・・・」 一体、この世界のウィッチってのはなんなんだ。 俺はそのうちいなくなる存在なのに、どうしてそこまで俺に関わろうとするんだ。 分かれるときに辛いだろ。 ・・・待てよ、よく考えたら、俺は本当に元の世界に帰れるなんて保障はないのか。 帰れるとしても、いつになるのかわからないのか。 だったら、あいつらの言うとおり、あいつらの気持ちを受け入れてもいいのかもしれないな。帰る、そのときまで。 仲が悪いよりは良い方が、良いんだよな。・・・辛かったら、相談してみていいんだよな。 ・・・気楽に、前向きに考えてみた。 ・・・不思議と、嫌な感じが俺の胸から消えていた。 コンコン またドアがノックされた。 俺「誰だ?」 サーニャ「私です」 またあいつか。 ―――― ガチャ 俺「・・・」 サーニャ「・・・俺さん」ニコニコ サーニャは、何故か微笑んでいる。嬉しいことでもあったのか? 俺「なんだ?」 サーニャ「・・・俺さん、表情が少し柔らかくなってます」 俺「あ゛?」 ・・・ 俺「そんなに、硬い表情してたか、俺」 サーニャ「はい。・・・みんな、心配してました。エイラも」 あいつが?・・・サーニャ以外には興味なさそうなあいつが? 俺「・・・そうか」 ・・・心配かけるのは、よくないな。心配かけてちゃ、お互い楽しく過ごせないよな。 俺「気をつけるよ」ニコッ サーニャ「あ・・・」 俺「どうした?」 サーニャ「い、いえ!なんでもありません!///」タッ そう言って、どっかに行っちまった。 ・・・今日は、久しぶりに熟睡できそうな気がした。 異世界のウィッチその5
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/402.html
PREV:オープニング NEXT:第1話 後編 ストーリー 皆揃ったな急に呼び出したにもかかわらず来てくれてありがとう ディー ディーに呼ばれたら何が何でもすぐに来るよ――来るぞ! ダピコ 相変わらずダピコはディーのことが大好きだな クロ ボクたちもディーのことは大好きクルよ!それで今日は何をするクル? クル 今日お前たちを呼んだのは他でもない……更なる闘いの技術を教えるためだ ディー お前達には、もしものためにも今以上に強くなってもらいたい ディー 闘い方……?それなら私達はクリーチャーだし大丈夫だと思う……ぞ ダピコ いや、今のままでは力不足だもし大きな戦いが起きれば生き残ることは難しいだろう ディー そうクルか?でも誰かをやっつけたりするのはボク苦手クル…… クル 大丈夫だ、敵を倒すことだけが闘いじゃない仲間を守る術を学ぶんだ ディー 仲間だけじゃなく自分にとって大切なものを守るには大きな力が必要になる ディー いつか大切なものを守らなくちゃいけない時の為に……修行しようってことだね…だな! ダピコ その通りだ、ダピコ強くなることはいつか絶対に役に立つからな ディー でも強くなるって言ってもどうすればいいクル? クル 分かりやすく言うのなら自分に合った戦い方を見つけることだな ディー 例えば自分の爪や牙に自信があるのならそれを使えばいい ディー あるいは俺のように武器を手にするという選択肢もあるだろう ディー うーん……でもやっぱりいざという時に足がすくんじゃうと思うクル…… クル なら防具を使いこなせるように修行すればいいさ攻撃だけが戦いじゃない ディー 自分の身を守る防具や機動力を上げる道具を見つける、 ディー こういったことも自分の戦い方を見つけるということに他ならないと思うぞ ディー なるほど……!わかったクル!!早速戦い方を見つけるクル! クル ならばボクはこのソリを使おう!冒険には欠かせない道具だ! ポゴ そのソリ、結構大きいクル……そもそもソリが武器になるクル? クル 冒険の勢いと機動力はまさに僕にぴったりの武器と言えるだろう! ポゴ 確かに、どんな道具であっても使い手次第では強力な武器になるポゴのソリはぴったりだな ディー ……私は、自分の爪を使う……一撃よりも……手数で勝負を決める………… リロ なんか被っちまったけどオレも自分の爪だな素早く速攻攻撃を決めてやるぜ! クロ クロは自分だけの武器じゃなくてよかったのか? ポゴ まあ戦い慣れている方が強くなるのも早いだろうしなそれにこれしか思いつかねえし クロ クロらしい、いい理由だそれに大事なのは武器よりも戦い方だからな ディー 使い易い武器を選ぶというのも立派な理由になるだろう ディー そういうことならボクはこの手のハサミが武器だクル! クル 確かに持ち前の武器があるのは使い易そうでいいね!……じゃなくて、いいな! ダピコ アコはどうするの?あんまり武器を持つってイメージが湧かないけど、が…… ダピコ 口調に慣れてなさ過ぎて変な語尾になってるけど、大丈夫ですか……? アコ でも確かに武器を使うってのはわたしの肌には合いませんねならば頭脳はどうでしょう? アコ このわたしの頭脳だって立派な武器と呼べるのでは?これなら道具は必要ありません アコ そんなのアリかよ……?頭の良さだけで戦えるっていうのか? クロ 戦いには冷静に戦局を見る参謀役は欠かせないこれも一つの闘いと言える ディー ふふん!そうでしょう、そうでしょう流石ディーです アコ とはいえ基礎体力は必要だその為の特訓はしてもらうぞ ディー そんな!?ハードな修行から逃れられると思っていたのに!! アコ まだまだ戦況の読みは甘ぇみたいだな! クロ さて、まだ選んでないのはダピコだけだが……どうする? 何か決めたか? ディー 私は……これ!家の物置にあったの持ってきちゃった! ダピコ ずっと気になっていたがやはり……その大鎌を武器にするつもりか? ディー うん!鎌だって立派な武器でしょ!……じゃない、だろ!? ダピコ おおー!それだったらデカい相手にも一発ガツンとかませそうだな クロ けどダピコの体より大きい…………本当に、大丈夫…………? リロ 確かにその鎌はかっこいいクル!けど……重くて全然使えなさそうクル クル 現に今、プルプル震えてるな…… ポゴ いや! これがいいの!……いいんだ! ダピコ (鎌ってダークな雰囲気あるし、ディーみたいに長物持った方がかっこいいもん……!) ダピコ 全く……それを選んだ理由は概ね予想がつくが…… ディー どんな物でも使い手次第とポゴに言ってしまった手前、否定するわけにもいかないからな ディー でしょう!?なら私はこの大鎌にする! ダピコ 分かった、ダピコはその鎌を使うということで決まりだ ディー やった!今日からこの大鎌が私の相棒よ! ……相棒だ! ダピコ ただ身の丈以上の武器を選んだからには人一倍特訓に励んでもらうぞ ディー まずは俺のこの攻撃を捌けるくらいには動けるようにならないとな ディー ディーの攻撃を!?そ、そんな難しいこと……! ダピコ 立派な使い手になる為だ、少々スパルタでいかせてもらう今回の特訓は長くなるぞ ディー うぅ……わかった!それなら……かかってこいっ! ダピコ PREV:オープニング NEXT:第1話 後編
https://w.atwiki.jp/poketetsunovel/pages/238.html
「娘の軌跡(むすめのきせき)」とは、ポケモンノベルにて掲載されている作品である。作者はネルフィー。 жжжжжжж目次жжжжжжж 概要 あらすじ 登場人物主要人物 データ 関連項目 жжжжжжжжжжжжжжжжжж 概要 ポケコン短編企画お題3『一番愛する場所』に投稿された作品。三人称と一人称。 ポケダン系統である。 あらすじ 夫と一人娘を失ったライチュウが娘の日記を紐解くことから物語は始まる。 レンギョウの種を持って秘密の日課を続けていた娘。だが、彼女は突如病に倒れてしまう。 そして、娘の死後、母であるライチュウが見たものは。 登場人物 主要人物 ライチュウ メスのライチュウ。下記のピカチュウの母親である。一人称は私。一人称部分の語り手の一人。 夫と娘を失い、悲しみの中で娘の日記を読むことに。 ピカチュウ ライチュウの娘。末期癌で死に至った。 母親であるライチュウにも秘密でとある場所に出かけること日課としていた。 病気が判明してからは日記を書くことが日課に変わる。一人称は私。一人称部分の語り手の一人。 データ 2011年2月1日公開 2011年2月6日編集 関連項目 ネルフィー
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/1225.html
501基地 廊下 今日も今日とて雑用雑用。心なしか私の一日は掃除から始まることが多い気がする。 何時も通りにミーナの執務室前まで掃除を終えると、これまた何時も通りに背伸び。 私「んー……」 カチャン 背後から扉の開く音。 振り向くとミーナが何やら悩んでいるような表情で出てきた。 私「どうかしたか?」 ミーナ「あら私さん。……それがね、今日一般人のお客様が来るのよ」 私「珍しいな」 結構な時間を基地で居候しているが、基地にやってくるのは輸送機と軍の高官のみ。 そんな中で一般人が来るとは、一体何者なのだろう。 ミーナ「あ、正確には元ウィッチの一般人の方よ」 私「なんだそうか」 数日後の私はこう答える あの時気が付くべきだったと ミーナ「以前に宮藤さんとリーネさん、そしてペリーヌさんがお世話になったの」 私「お世話になった?」 ミーナ「3人は一度ストライクウィッチーズを解散してから再結成するまで、少しの間戦線から離れていたの。それで、一時期鍛え直してもらってたのよ」 頭の中の以前巣で記憶した資料に再結成をしたと書かれていたのを思い出す。 確かにここは最前線基地、一週間程度ならまだしも、半年や一年も前線から遠ざかっているとカンも鈍るだろう。 私「鍛えてもらった人がよかったんだな」 ミーナ「美緒もお世話になった人よ」 私「坂本もか……私も昔ある人に散々しごかれてな」 ミーナ「そうなの?」 私「厳しかったが優しい人だった。今は何をしてるんだろうな」 窓から外を見ると青々とした空が広がっている。 確か妹と一緒に訓練を頼みに行った日もこんな天気だった。 ミーナ「私さんにもそういう時期があったのね」 私「まあな。いい思い出……とはいいにくいがな」 主に妹的な意味で。 私「さて、今日は私が夕飯を作るか」 ミーナ「でも今日は宮藤さんが当番のはずだけれど……」 私「恩師が来るんだ。仲が悪いなら別だが、積もる話もあろうだろうさ」 ミーナ「……そうね。じゃあわたしから宮藤さんに伝えておくわ」 私「頼んだ」 ミーナは私に背を向けて宮藤を探しに向かう。 私は師匠の顔を思い浮かべながら、教えられた通りに箒にまたがってみる。 魔力をコントロールする。ふわり、と体が宙に少しだけ浮かんだ。 私「まだ何とかなるもんだな」 魔力を止めて床に足を付ける。 箒を元の場所に戻すため、私は自室へと戻ることにした。 台所 夕食までまだ相当時間があるが、いざ作る時になって何もありませんでした。では笑い話にもならない。 なので冷蔵庫の中身を確認することにする。 扉を開くとひんやりとした空気が漂ってきた。 私「……ふむ」 一通り冷蔵庫の中身を確認したが、これなら問題ないだろう。 確かこの間倉庫の方に補給物資も届いていたし。 冷気が漏れ出さないうちに手早く扉を閉じる。 夕飯の準備までまだ時間がある。偶には部屋で昼寝でもするのもいいかもしれない。 そう思いながら振り返る。 ルッキーニ「やっほー」 シャーリー「やー」 そこには椅子に座って待機している二人の姿があった。 一体どうやって音も立てずに椅子に座っていたのかはこの際考えないことにする。 私の注意力散漫ということにしておこう。 私「……何が食べたい?」 尋ねると二人は顔を見合わせた。 ルッキーニ「まだあたし達なにもいってないよ」 シャーリー「まあ正解なんだけどさ」 私「お前達が台所に来る時は大抵おやつか何かを食べにくる時だ」 ため息をつきながら、手を洗うために服の袖をまくりあげる。 私「ちょっと待ってろ。……期待はするなよ」 何を作るか考えながら、とりあえず冷蔵庫の扉を開いた。 数十分後、オーブンから取り出されたのはアップルパイ。 少し焦げ目が付いてしまったがこのくらいは問題ないだろう。 熱いうちに包丁を入れると、サクサクとパイ生地のいい音と、シナモンの香りがした。 切ったそれを白い皿に移して、フォークも一緒に乗せて二人へ持っていく。 私「出来たぞー」 ルッキーニ「わあい!」 ルッキーニは両手を上げて喜ぶ。やはり笑っている時が一番可愛らしい。 って何考えてるんだ私は。 シャーリー「アップルパイにしては早かったんじゃないか? パイ生地とか作るの大変だろ?」 私「あ、ああ。昨日はペリーヌが食事当番だったろ? その時、作りすぎて余ったから私が貰って冷蔵庫に入れておいたんだ」 右片手で左腕軍服の袖を直しながら、左手で椅子をひきルッキーニの隣に座る。 既にルッキーニは黙々と食べ始めていて、切り分けた分が半分無くなっている。 私「美味しいか?」 ルッキーニ「うん! すっごく美味しい!」 私「そうか。ならよかった」 普段のあいまいな感情ではなく、間違いなく凄く嬉しいと感じた。 だがこの感情も裏切った時全て無くなってしまうと考える。 嫌、だな。 凄く嫌だ。自分がそんな感情を持つことは、許されないと思っても。 私「……」 シャーリー「どうしたんだ? 急に黙ったりして」 シャーリーの声にハッとして顔を上げる。 どうやらいつの間にか俯いていたようだ。 私「何でもない。ちょっと考え事してただけだからさ」 シャーリー「そうか。ナニか悩みがあったら遠慮なくいってくれよ」 シャーリーはアップルパイをフォークで一口くらいの大きさにして、それを突き刺すと私の前まで持ってきた。 シャーリー「遠慮するなよ。親友」 歯を見せてシャーリーは笑う。 私「……」 少し、本当に少しだけ泣きそうになって、全てを洗いざらい吐いてしまおうとも思った。 けれど心の中で言ってはいけないと叫んでいる。 感情と言葉を飲み込むと、こちらも少しだけ笑みを浮かべる。 私「そのうちな。親友」 ルッキーニ「ねえねえあたしは!? あたしは!?」 少し不満そうにルッキーニが声を上げる。 シャーリー「んー、なんていうかな」 シャーリーは右の人差指を額に当てた。 ルッキーニ「何?」 シャーリー「あたしはルッキーニのことを親友だと思ってるし、妹みたいにも思ってる」 それは周知の事実だろう。一体どこを悩む必要があると言うのか。 シャーリー「でも私はそれに加えて別の感情持ってるんじゃないか?」 私「……は?」 思わず反応が遅れた。 シャーリー「違うのか?」 私「違う!」 いや違わないけど。 私「それに前にもこんな話を――」 ルッキーニ「違うの?」 目に涙を浮かべつつ、ルッキーニは私を上目づかいで見てくる。 反則だろうそれは色々と。 私「う、うぐぬぬぬ……」 散々うめいた後、ため息をついた。 私「……私もシャーリーと同じ気持ちだ」 ルッキーニ「ホント?」 私「ホントだ」 シャーリーはニヤニヤしながら私を見ている。 ああもう親友って呼ぶんじゃ無かったよちくせう。 ルッキーニ「ね、ね、ね。シャーリーが言ってた別の感情って?」 体をこっちに向けて身を乗り出すように顔を近づけてくる。 私「あ、そ、それはだな……」 返答に困る私に救いの神は降臨した。 ガチャッ 扉の開く音に、私を含めた全員の視線が扉へ向かう。 坂本「おお、お前達こんなところにいたのか」 現れた坂本は私には女神のようにも見えた。 坂本「そろそろ客人がくるから知らせておこうとおもってな」 シャーリー「もうそんな時間かー」 ルッキーニ「まだ食べてるのにー」 私「皿ごと部屋に持っていっていいぞ。ただしあとで皿は後で返してくれよ」 その言葉に二人は皿を抱えて食堂から飛び出して行った。 こういう時の行動はとんでもなく早いな。 坂本「……もうちょっとあの行動の速さを訓練に生かしてくれればいいんだが」 私「やることはやってるし問題はないだろうさ」 坂本はため息をついた。が、直ぐに顔を上げて立ち直る。 坂本「さてわたしは滑走路に迎えに行かなきゃな」 私「ところで、誰が来るんだ? お前や宮藤達がお世話になってたと聞いたんだが」 坂本「ああそれはくs……」 ゲフンゲフンと咳払いをした。 坂本「アンナ・フェラーラ。元ウィッチで今も時々ウィッチの訓練をしてくれている人だ」 私「そうかアンナ・フェラーラか……アンナ……?」 どこかで聞いたことがあるような。 私(アンナ……アンナ……アンナ・フェラー……ラ……――あっ) 私「……」 坂本「どうした? 急に顔色が悪くなったようだが……」 私「ナンデモアリマセンナンデモアリマセン」 思わずカタコトになってしまう。 ダラダラと背中に嫌な汗が流れているのがわかる。 坂本「そうか? じゃあわたしは行くからな」 坂本が扉から出て行ったのを確認すると、頭を抱えて机に突っ伏した。 私(やばいよやばいよ今までで一番やばいよ……) アンナ・フェラーラ。 忘れもしない、私達姉妹を鍛え上げたクs……ではなく、師匠。 そして自分の正体を知っている人物。 一体どうやって誤魔化そうか。 冷や汗を流しながら私はとりあえず台所の後片付けを済ませることにした。 食堂 私「……ちょっと塩気が足りないかな?」 一度小皿に移したスープの味を確かめると鍋をかきまぜる。 夕食はシチューにすることにした。今回は肉が無いので魚介類を使った。 塩を鍋の中に入れ、再び少量を小皿に移し味見をする。 私「ん、これなら問題ないな」 我ながらうまくできたと思う。 ちなみに魚介類はイカとタコはいれていない。シャーリーが苦手と聞いたからだ。 物足りない人は茹でてあるものを用意しているのでそこから個別でとってもらえばいい。 鍋のふたを閉め、エプロンを外し椅子に座る。 私「ふぅ……久々にこんなに長く厨房に立ったな」 ???「ねねね! できた!?」 私「ああ出来たよ……って」 ルッキーニ「味見していい?」 これで何度目かわからないが、再びルッキーニの接近に気付くことなく背後を取られていた。 やはり私は何かに集中をしていると周りが消えてしまうらしい。 私「……ちょっとだけだぞ?」 ルッキーニ「うん!」 下ろした腰を再びあげると、ふたを開け小皿にシチューを移す。 火を止めたのが先ほどだったのでまだ暖かいシチューは少量でも湯気を立てている。 私「火傷するなよ?」 ルッキーニ「大丈夫大丈夫! いただきまーす!」 皿を渡すとすぐにルッキーニは小皿の縁に口を付けシチューを飲む。 私(……そういえば) あの小皿は、何度も何度も私が味見をしたので恐らく縁部分に私が口づけてない場所はないはず。 つまり―― 私(……間接キス?) そう思った瞬間、顔の温度が急上昇していくのを感じた。 何を考えているんだ私は! その考えだといつも食事で使っている箸やスプーンだってある意味間接キスじゃないか! ――ってああもうそう考えたら余計熱くなってきた! 落ち着け私落ち着け私。私はできる子私はできる子。 私(びーくーるびーくーる……) 何度も壁に頭をぶつけたい衝動に襲われたが、今の状態でこれをやると壁を粉砕する可能性もあるので何とか抑えることができた。 ルッキーニ「ごちそうさま!」 ルッキーニの声になんとか現実へと戻ることができた。 私「どうだった?」 ルッキーニ「んー……美味しいけどちょっと甘いかもしれない」 少し唸ってからルッキーニは答えた。 私「少し甘いか……」 ルッキーニ「あまり気にならないからあたしはこれでいいと思うよ」 私「まあ少し塩を足す程度だから直ぐに終わるさ」 調味料を取るために棚を漁る。 ルッキーニ「ところで私に聞きたいことがあるんだけど」 私「なんだ?」 ルッキーニ「その格好……どうしたの?」 現在の私の格好は、髪を下ろして黒くて四角いフレームのメガネを付けている。 ちなみにこの眼鏡は私が先ほどネウロイの能力を使い作りだした。 とはいっても本当に眼鏡として作りだしたので、意思を持ってるとかコアがあるとかそんなことはない。 なお度も僅かだが入っている。 私「えらく今更だな……。まあ、いわゆるイメチェンというやつだ」 手で眼鏡をクイッと上に軽くあげる。 かけていないときはわからなかったが、かけてみると無性にやりたくなることに気付いた。 ルッキーニ「へー」 私「……似合わないか?」 ルッキーニ「ううんすっごく似合ってると思う」 私「そうか」 ルッキーニの頭を撫でる。 今回は師匠の目を誤魔化すためにやったが、偶には格好を変えるのもいいかもしれない。 満足するまで撫でた後、本来の目的である塩を再び探そうとした時。 ガチャン ミーナ「私さんもう夕飯の準備は出来てるかしら」 扉を開いてミーナが入ってきた。 耳を澄ますと、扉の前から何人かの喋る声が聞える。 塩を入れたかったところだが、これでは間に合わないだろう。 私「ルッキーニが美味しいと言ってくれたからな。大丈夫だ」 ミーナ「そう。なら問題ないわね……ってどうしたのその姿」 ルッキーニ「イメージチェンジだって」 ミーナ「へえ……似合ってるわね」 私「そうか? 実はまだ鏡見てなくてな。どんな姿しているかまだ確認できてないんだ」 ミーナ「じゃあ夕食前に一度姿を確認してきたら? 多分そのくらいの時間はあるわよ?」 ミーナの提案に私はあることを思いついた。うまくいけば少し顔を見られる程度で済むかもしれない。 私「そう、だな。じゃあ私は少し部屋に戻らせてもらおう」 エプロンを外すと、外したエプロンをルッキーニに着せる。 ルッキーニ「うじゅ?」 私「私は少し疲れたから自室に戻って休んでいる、後はルッキーニに任せる。まあ、皿にシチューを入れるだけだし問題ないだろ?」 ルッキーニ「うん!」 私「いい返事だ」 私は頬が緩むのを感じた。 決してルッキーニのエプロン姿が可愛らしかったからとかそんな理由ではない。絶対にだ。 私「じゃあ後は頼んだぞルッキーニ」 ルッキーニ「また後でね!」 ミーナ「お疲れ様私さん」 二人に見送られながら食堂の扉を開ける。 廊下に出る前にもう一度だけルッキーニのエプロン姿を目に焼き付けた。 廊下 私「あっ」 全員「あっ」 食堂から出た私は既に待機していた他の連中とばったり遭遇してしまった。 私(しまったぁぁぁぁぁ! ルッキーニのことで頭がいっぱいで集まってるの忘れてたあああああああああ!) 食堂に戻ろうにも、任せると言ってしまったので今更のこのこ戻るわけにもいかない。 私「や、やあ」 宮藤「私さんどうしたんですかその格好」 私「あー私っていつも同じ格好だろ? だから気分転換にイメージチェンジをだな」 リーネ「そうなんですか」 数名はどうやら普通に受け止めてくれたようだが、残りは疑った、というより変な物を見るような目で私を見ている。 まあ普段眼鏡なんてかけていないので変に思われるのは仕方が無いが結構辛いものがある。 サーニャ「そ、その似合ってる……と思います」 私「は、はははは……ありがとう」 サーニャのフォローに少し泣きそうになった。今度サーニャのデザートは多めにしてあげよう。 シャーリーところで私は夕飯は食べないのか?」 私「私は味見で結構食べたからな」 エーリカ「えーずるいー」 バルクホルン「お前は寝ていただろう」 私「客人が来てるらしいから多めに作ってる。心配するな」 幸いまだ師匠は坂本と一緒にいるようでここにはいない。 顔を合わせることにならなくてよかった。師匠はかなり勘がいいのでちょっとしたボロで直ぐにばれる危険がある。 私「あ、今日の夕食は具は各自で入れてくれ」 ルッキーニに言い忘れたことを伝え、私は部屋に戻るため早足でその場を後にした。 再び数時間後 部屋の中には私とルッキーニ、そしてシャーリーがいる。 先ほどまでは宮藤達がいなくて暇だからとエイラとサーニャもいたが夜間哨戒に向かった。 ルッキーニ「うゆー……」 ルッキーニはベッドで眠っている。 私のベッドだが今日は手伝ってもらったことだし寝かせようと思う。 そして私とシャーリーはというと、テーブルを挟んで向かい合っていた。 私「どうする?」 シャーリー「んむ……」 互いの手には5枚のカード。所謂ポーカーをやっている。 ちなみに先ほどまではジェンガだった。(カードゲームだとエイラが無双するので) 私「私は少々手が悪いので……1枚交換だ」 手札を1枚捨て、山札から1枚持ってくる。 やってきたのはクローバーのクイーン。 私「どうやら運は私側に向いてるようだ」 ジェンガでは肝心なタイミングでクシャミをしてしまい、崩してしまう失態を見せてしまった。 それを取り戻すかのように手札はいいものが揃っている。 私(罰ゲームは勘弁願いたいのでな) シャーリーが開始前に負けた方は罰ゲームと言ったので、シャーリーも真剣な表情をしている。 ここまでの結果は6戦3勝3敗とありがちな展開と言える。 なので、この勝負で決着がつく。 私(私の手は……ストレートフラッシュ。しかも手の大きさから同じストレートフラッシュでも9から開始なら負けることはない……) もはやシャーリーの勝つ可能性は零に近い。 そうだな罰ゲームを考えよう。多分シャーリーのことだろうから服をバニーガールに変えるとかは余り意味が無いだろう。 シャーリー「じゃああたしは3枚……頼む!」 よしいいこと思いついた。 明日エーリカに料理作ってもらってシャーリーに食べさせよう。 何かよくわからないが、シャーリーのせいで何かを漏らしたような記憶もあるから憂さ晴らしも含めて。 私「じゃあいくぞ覚悟はいいな?」 シャーリー「へへーんそっちこそ」 私「強がらなくてもいいんだぞ? 私はこれだ」 シャーリーに手札を見せる。 私「クローバーの8からクイーンのストレートフラッシュだ」 一瞬、シャーリーが動揺したのを私は見逃さなかった。 嬉しさで顔が緩みそうになるのを必死にこらえる。 シャーリー「ま、まさかストレートフラッシュなんて……」 私「罰ゲームはもう考えてあるから安心しろ」 シャーリー「ストレートフラッシュなんて……なーんてな」 私「……は?」 シャーリーが私に手札を見せる。 そこにはハート、クローバー、スペード、ダイアそれぞれの5、そしてジョーカー。 シャーリー「ファイブ・オア・アカインド……ファイブカードって言ったほうがわかりやすいか?」 私「う、うしょ……」 ショックのあまり呂律が回らない。 計画が、私の計画が……。 シャーリー「勿論、ストレートフラッシュより役は高いからあたしの勝ちだな!」 私「しょ、しょんなあああああああああ……」 我ながら情けない声を上げながら、テーブルに突っ伏す。 シャーリー「じゃー罰ゲームは何が良いかなー」 突っ伏しているので顔は見えないが声の様子から笑っているのがわかる。 多分彼女が好きな人なら一撃でノックアウトされそうな笑顔だろう。 ただし私にとっては悪夢への案内人の笑顔だが。 シャーリー「うーんうーん……」 やめろ悩まないでくれ。悩めば悩むだけろくな罰ゲームしか出ないような気がする。 私(あばばばばばばばば) シャーリー「そうだ思いついた!」 と言ってシャーリーが手を叩いたのと同時に、 トントン と部屋の扉がノックされた。 私にはノックの音がまるでウェディングベルのように聞えた うまくいけばこのままうやむやになってシャーリーも忘れるかもしれない。 シャーリー「部屋の主は死んでるけどいるぞー」 私「勝手に殺すな」 既に死んでるのは内緒だ。 扉を開けて入ってきたのは宮藤だった。 私とシャーリーを見た瞬間、殺気の様なものを感じたが多分気のせいだろう。 宮藤「……はっ!? す、すいませんちょっとぼーっとしてて」 慌てて宮藤は袖で口元を拭う。 シャーリー「で、どうしたんだ? お客さんとはもういいのか?」 宮藤「はい。色々と話せましたし……。あの、私さんに伝言なんですけど……」 私「私に? 誰から?」 体は机に突っ伏しているが、首をひねって宮藤の方に顔を向ける。 宮藤「アンナさん……あっお客さんの名前ですよ。アンナさんが私さんにお礼を言いたいって」 私「お礼?」 宮藤「はい。夕食のシチューが美味しかったらしくて」 それくらい伝言だけでいいだろうに。 どうしてわざわざ私に直接会おうとするんだあの人は。 宮藤「直接会ってお礼をした方が心が伝わるって言ってました」 私「んーあー……お礼言われるだけに行くのもなぁ……」 シャーリー「別に会うだけなんだしいいだろ?」 私「でもあの人もう高齢だしこの時間には寝たほうがいいと思うんだよなあ」 宮藤「……あれ? 私さんアンナさんに会ったことあるんですか?」 私「い、いやないぞ」 宮藤「そうですか……なんでアンナさんがお婆さんってこと知ってるのか気になっちゃって」 しまった。私はまだ師匠に会っていないということにしておいたんだった。 恐らく宮藤達は滑走路から師匠と一緒にいるので、降りてきたときに話しかけたというのも通じない。 しかも私は台所にこもって料理を作っていたというのを、部隊の全員が知っている。 私「あ、あーその、ミーナだ。ミーナが教えてくれたんだよ」 その場かぎりだが、多分これが一番ばれないとおもう。 ――今更ながら遠くから姿を見たって手も思いついたが。 宮藤「そうなんですか」 幸い宮藤は信じたようだ。私に寿命と言うものがあったら多分半年ほど縮んでいたと思う。 宮藤「場所ですけど、少ししたら滑走路に行くって言ってたので今から向かえば多分丁度だと思います」 私「で、でもなぁ……」 シャーリー「行ってきたらどうだ? ロマーニャとはいえ夜は冷えるし、待たせるのもどうかとおもうぞ」 私「う、うう……わかったよ行くよ」 二人に言われて重々しい体を起きあがらせる。 ああいやだいやだ会いたくない。高確率でばれるよあの人、超勘がいいから。 私「……ルッキーニはそこで眠らせてやってくれ」 ふらふらとした足取りで私は滑走路へと向かった。 滑走路 滑走路の一番先端に師匠はいた。 背中に手を回し、海を見つめるその姿は、私が教えてもらった時に比べて少し縮んでいた。 ――寂しさ、なのだろうかこの感情は。 感情の整理がつかないままゆっくりと近づく。 アンナ「……来たかい」 私「はい」 師匠は振り向くと私の目をじっと見つめてきた。 ああ、間違いない。師匠は私のことをわかっている。 アンナ「……同じだったからね」 私「同じ?」 アンナ「アンタと妹二人に訓練をしてやった最後の日に、あんたが作った夕食のシチューと同じ味だった」 私「……そんなこと覚えてたんですか」 アンナ「自慢じゃないけど、あたしは今まで鍛えたウィッチのことは忘れちゃいないさ」 私は出会いがしらに殴られるかと思っていたがそんな様子はない。 私「師匠……」 アンナ「……昔、ずっと昔にアンタと同じ目をした軍人がいた」 私「同じ目をした……?」 アンナ「そいつは言ったよ。ウィッチが傷つくのは嫌だと、ウィッチが戦わなくても済むようにするのが自分の仕事だとね」 師匠はそこで一呼吸ついた。 その目は昔を懐かしむような、悲しむような目をしている。 私「……その人は今どうしてるんですか?」 アンナ「……さあね。つい一年前にウォーロックとかいう兵器を勝手に作り出して、ウィッチに対してクーデターを起こしたんだけど、兵器が暴走、失敗してそれからは知らないよ」 私「そう、ですか」 アンナ「あいつは劇薬を選んだのさ。その兵器がうまくいけばウィッチは戦わなくてよかったかもしれない。でも、急ぎ過ぎた」 確かにその兵器がうまく行ったなら願い通りウィッチは傷つくことはなかっただろう。 ウィッチを傷つけたくないという気持ちが先走り過ぎて、同意を得る前に行動を取り失敗というところなのかもしれない。 アンナ「アンタの目はそんなあいつと同じ目だった」 私は実験の材料となる子供たちを救いたかった。 だからもう実験をしなくて済むようにネウロイの巣を破壊しに隊を率いて、殺されて、殺し返した。 結果として子どもたちは助かったが、彼らを守る軍は無くなり国は無くなった。 私も急ぎ過ぎたのかもしれない。 一度死んだからといって怒りにまかせた復讐の前に、もう一度だけ話せばよかったのかもしれない。 ――もう全ては遅いけれど。 アンナ「アンタのいた国のことと、基地のことを考えればアンタがどんな存在になったか直ぐに分かったさ」 私「……はい」 アンナ「あたしはもう何も言わない。でもこれだけは言っておくよ」 私「……」 アンナ「他人を傷つけたなら今度は他人を見を呈して守りな。でもアンタが死ぬことで責任取れると思ったら大間違いだよ。確かにアンタは人を殺したけれど、あんたが居なくなったら悲しむ人も間違いなく居るのさ」 私はその言葉に、ただ一回無言で頷くことしかできなかった。 師匠は知っていた。 私がネウロイだということも、近いうちに死ぬ気だったことも。 私「……師匠」 私は師匠の肩に手を乗せる。 確かに私は師匠の言葉は受け止めた。しかし、これだけはやらなければならない。 私「今日の……いえ、ずっと昔の記憶まで含めて、私のことを忘れてもらいます」 返事を聞く前に記憶を読みとり、書きかえる。 一瞬の静寂の後に師匠は口を開いた。 アンナ「……はて、あたしはなんでここにいるんだったかね」 私「お忘れですか? アンナさんは私にシチューのお礼がしたいって言ってここまで来たんですよ?」 アンナ「ああ、そうだった、そうだったね。とうとう物忘れが激しくなってきたのかねえ」 私「……いえいえアンナさんはまだ若いですよ。そろそろ戻りませんか? 夜も更けてきましたし」 アンナ「じゃあそうさせてもらおうか」 師匠、いやアンナさんが滑走路から去るのを、私は彼女が見えなくなるまでその場から動かずにずっと見ていた。 私「……ありがとうございました」 翌日 昼 部屋には再びシャーリーとルッキーニ、そして珍しくハルトマンがいる。 なんでも絵本を読み終わったので暇でしょうがないらしい。 なので4人でできるゲームということでババ抜きをすることにした。 順番はルッキーニ→私→ハルトマン→シャーリー。 ルッキーニ「あのお婆さんいっちゃうね」 私「そうだなあ……っと揃った」 ハルトマンから取ったカードはスペードの2。手札にクローバーの2があったので捨てる。 ハルトマン「げっ、運いいね私」 そんなことを言いつつ、シャーリーからカードをひいたハルトマンもハートのキングとダイヤのキングを揃えていた。 シャーリー「今頃はミーナ隊長と坂本中佐が見送ってる頃だな……よし上がりっ!」 カードを捨てると両手を上げてガッツポーズをした。 相変わらずカードゲーム強いな。 ルッキーニ「うじゅ……」 私の手札は3枚。そのうちの真ん中をルッキーニは選ぶ。 ルッキーニ「やったー!」 喜びの声と共にルッキーニもあがる。 これで私とハルトマンの一騎打ちになった。 ハルトマン「さーて私どっちを取る?」 ハルトマンの手札は2枚。 私手元にジョーカーは無いので間違いなくハルトマンが持っている。 私(……右だ!) 心の中で叫びカードをひく。 私「……」 来た。来てしまった。憎らしい笑みを浮かべる道化師の姿が描かれたカードが。 ハルトマン「じゃあわたしはこれ!」 取ったカードは勿論ジョーカーではなくスペードのエース。 また負けた。 私「うっがあああああああ!」 叫びつつ昨夜と同じようにテーブルに突っ伏す。 シャーリー「じゃあ私は罰ゲームだな。昨日の分も含めて2つだ!」 ハルトマン・ルッキーニ「「イェー!」」 しかも昨日のこともバッチリと覚えていた。 不思議と嫌な気持ちはなくまるでじゃれ合っているような気分。 結局のところ、私は彼女達といるのが好きなのだろう。 私(……守るかぁ) 口にするのは簡単だが行動に起こすには難しい。私が人間ではないとばれてしまうから。 もう少しだけ考えたい。 私はどうしたいのかを。 彼女達と生きて守りたいのか、死んでで償うべきなのか。 きっと時間はもう僅かしか残っていないから。 どんな結果になってもいいように、この時間は大切にしておこう。 シャーリー「じゃあバニーガール姿で一週間過ごすな!」 私「一週間はおかしいだろう!?」 ルッキーニ「昨日の分と合わせてだよ」 ハルトマン「おとなしくおなわにつけー!」 私「うあああああああああああああああああああああああああああ!」